山口絵理子『裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記』

裸でも生きる――25歳女性起業家の号泣戦記 (講談社BIZ)


去年の3月の情熱大陸でも紹介された株式会社マザーハウスの代表でバッグデザイナーでもある山口絵理子さんの本。


山口さんは米州開発銀行というワシントンにある国際機関で国際援助の在り方について疑問を感じ、アジア最貧国のバングラデシュに単身で乗り込み起業。バングラデシュで生産されるジュートという麻の一種を用いてバッグの生産、販売を行っている。

彼女の幼いころからバングラデシュで起業する現在まで描かれており、負けず嫌いという言葉では表現できないほど、さまざまな困難にぶちあたり、それらを乗り越えていく。

  • 女子柔道部のない工業高校の柔道部で初の女子部員として男子部員に混じって練習
  • 工業高校から慶應義塾大学総合政策学部入学
  • 2週間のバングラデシュ滞在期間中に大学院に入学を決意し現地の大学に入学
  • 本格的なバッグ作りを学ぶ前にバッグを作成する会社を作る。
  • 社長業をこなしながら東京のバッグ職人に弟子入り


などなど。


特に工場の材料から機械まで現地のスタッフにもろもろ盗まれても、あきらめずにやり方を変えて再びビジネスに挑む姿は本当に頭が下がる。



彼女の考え方で感心したのは、フェアトレードのような消費者に社会貢献を訴えかけて商品を購入させるのではなく、あくまで商品の良さで勝負しようとしているところ。そして途上国と先進国という枠を乗り越えて対等な関係でビジネスを進めていくところが今までにあまり見られない発想だと思った。



青年海外協力隊は要請主義(相手の要請がきてはじめて活動ができるボランティア)なので、そこまで自分の発想をいかせられないかもしれないが、途上国では技術よりも熱意が大事ということをあらためて教えてくれる本だと思う。