派遣225日目Return to Zimbabwe


真夜中にスコールがあった。そのため朝、道路の一部が冠水していた。ペンバは交通量が少ないから影響は少ないものの、首都マプトや北部の中心都市ナンプラでこのような事態が起こったら、結構混乱するだろう。そういう意味ではペンバはラッキーなのか?


午後、学部長のMr.Nephasが自分のオフィスに来る。普段、彼が自分のオフィスに入ることはない。何事かと思いきや、今週で配属先の大学を辞めてジンバブエの首都ハラレに戻ると話してくれた。


驚きのあまり、どう声をかけてよいのかが分からなかった。今週はまだ後期の途中で、彼がスーパーバイザとして卒業論文を見ている学生もたくさんいるというあまりに中途半端な状況。そして後任の学部長が来るかどうかはまだ決まっていないらしい。


しかし、ジンバブエ人のMr.Nephasにとってモザンビークでの仕事は臨時というか緊急避難的なものである。ジンバブエハイパーインフレによって国情が安定していないため、致し方なくモザンビークに逃げているだけ。モザンビークは正常なときのジンバブエに比べて、インフラもしっかりしていないし、公用語ポルトガル語だし、給料も安い。早く帰れるのであればそれに越したことはない。日本で例えるのであれば、日本で何か問題が起こって、北朝鮮で仕事しているようなもの。よど号ハイジャック犯でない限り、北朝鮮にとどまりたいと思う日本人はいないだろう。今までの彼の仕事に感謝はできても、今回の彼の決定を非難することはできない。むしろジンバブエがまともになってきたこととして歓迎すべきことだと思う。





とりあえず、Mr.Nephasが去った後は卒業論文に関する仕事は増えることが予想される。事務的なことなど分からないことがある場合、Mr.Nephasに尋ねてくれを連発していたので、これからは自分が最終ラインとなって答えざるをえない。


今回のことはJOCV(青年海外協力隊)的に言えば、カウンターパートがいなくなった状態。もともとマンパワー的に入っているのでそんなに影響はないといえばない。


話は変わるがカウンターパートという言葉にいつも違和感を抱いてきた。Oxford英英辞書でcounterpartを調べると以下のような意味。

a person or thing that has the same position or function as somebody/something else in a difference place or position

簡単にいえば、対等なポジションにいる人のこと。いくら途上国とはいえ指導経験やそれなりの技術を持った相手にカウンターパートとこちらが認識して活動を行うのも変な話。全く、経験ないボランティアでも受入先の人と対等ですよみたいな顔をして活動を行うのもなんだかね。


これは村落開発普及員や青少年活動といった未経験者が応募しやすい職種に限った話ではないことを強調しておく。自分を含めて、ある程度の技術を持って日本で働いていたボランティアでも、教えるということに関しては未経験者が多い。そんな未経験者が教えるということを行うにはそれなりの準備が必要。慣れない外国語で行うのであればなおさら。そんなど素人の人間が現地の人間に対して、(プロであることを装って)指導するなんて、はっきり言って現地の人というか途上国を舐めている。というかバカにしているのである。カウンターパートではなく、あえていうならば受入先担当者ぐらいが適当。


ただ理想を追求して指導経験ありをボランティアの応募の条件に入れてしまうと応募してくる人が1ケタから2ケタぐらい落ちる。職種がコンピュータ技術の場合、ウチダ人材開発センタの人ぐらいしか応募できない。現実的な妥協点として、技術補完研修やら自己学習でお茶を濁しているのが現状だと思う。



このプログラムに参加してからいろいろ考えが変わったところもあるけれども、上記について応募時から考えは変わっていないし、帰国後もおそらく変わることはないだろう。