派遣237日目ビーチへ走るモザンビーク人

新たに自分が卒業論文の担当になった学生と話し合う必要があったので、先週金曜日に渡された論文を読む。


論文のテーマはペンバのある地域におけるマラリア感染率と世帯の収入、教育レベルの相関性について。


なぜ、これが情報学部の卒論になるのかはよく分からないけれども、学生も自分もお互いに余裕がないのでスルーすることにした。情報学部と関連性があるのは資料を作成するのにGISという、地図と統計情報を簡単に組み合わせるソフトを使っているぐらいか。


しかし、同じ理屈で行くと、本来文学部に提出するような源氏物語に関する論文でもExcelとかWordを使って資料を作成すれば情報学部に提出することが可能になってしまう。ここらへんはアンタッチャブルな領域にしておいた方がよさそうだ。


収入レベルと教育レベルが低いほどマラリアにかかりやすいという3ページぐらいで終わる内容を30ページにわたり説明していた。卒業論文は中身もそうだけど形式も大事なので、ここもツッコまないでおこう。


論文なので基本的には真面目な文章しかないのだけど、読んでて面白いと思ったのは以下の件。

And because of lack of drainages in this area 70% of families up to today use latrine, 10% flush in the house and 20% do not use even latrine even flush in the house, they run to the beach.

他の地域では分からないけど、ペンバとモザンビーク島の海岸ではこの光景が見れるので、興味のある人はどうぞ。


この日はこの論文を読んでいる最中もそうでないときも、他の学生が自分にいろいろと用事を持ってきた。

  • (学生のアカウントではアクセス禁止になっている)ソフトウェアをダウンロードしてくれ
  • 卒業論文の進捗表にサインを頼む
  • 再試験の内容を教えてほしい
  • 最終試験の形式を教えてほしい
  • PBL(学生同士のディスカッション)で使用する資料をくれ
  • etc


論文を読むときは内容を一気に頭に入れてしまいたいので、集中力がいる。オフィスに鍵をかけて、不在を装ってもノックしてくるので対応せざるをえなかったし、図書館に移動してもどうように声をかけられるのでなかなか自分の時間が持てず苦労した。


ホリエモンこと堀江貴文氏がライブドアの社長時代、すべての要件をメールで済ませようとした意味が分かるような気がした。他人とFace To Faceもしくは電話でコミュニケーションするということは自分の時間を相手と共有することであり、かつ自分の時間を犠牲にすることでもある。


経験から言って、自分の時間が一定して確保できないとコーディングの生産性はがた落ちする。前の会社でも、開発に集中するため、問い合わせ業務を緊急の物以外受け付けないというキャンペーンを時折やっていた。日本で役職が上がるという場合、他人とのコミュニケーションをする時間が増えざるをえない。


結局何が言いたいかというと、プログラマプログラマのまま役職を上げていくのが難しいのは、上役になるとコーディングに集中できる環境が確保できないためだということ。この200文字くらいにまとめることのできるテーマでもがんばれば卒論30ページぐらい書けるかもね。