派遣259日目Defense1日目

今日から金曜までの4日間、第4学年のDefenseが行われる。Defenseとは防御のことでもサッカーのディフェンスでもなく卒業論文の発表のこと。もちろん学生にとっては学生生活の中で最大のイベントになる。


一人あたりのDefenseの時間配分は以下の通り。

  1. スライドを用いたプレゼンテーション10分
  2. 作成したソフトウェアのデモンストレーション10分(ソフトウェア作成をテーマに選んだ場合)
  3. 質疑応答10分(質問は講師陣だけでなく、他の学生からも可能)


講師陣はいくつかの評価項目をもとに学生の発表について点数をつける。


講師陣には自分を含めたペンバの情報学部の講師陣だけでなくベイラの情報学部長Mr.Machachaも含まれていた。ベイラにいる彼がペンバまで来て評価を行う理由は講師陣の人数が足りないため。ベイラは昨年から情報学部のコースが開始されたのでまだ卒業する学生がいないのでベイラの学部運営におよぼす影響は少ない。


Mr.Machachaは午後からDefenseの評価に合流。彼に逢うのは半年ぶりであったけれども、旅の疲れを感じさせず相変わらずのハイテンションぶりだった。


実際の発表の方は、多くの学生が時間の短さに苦慮していた。プレゼンおよびデモンストレーションは10分たったら強制的に終了する。中途半端なところで発表が終わってしまい内容がよく伝わらないまま評価せざるを得ないケースが少なからずあった。


時間内に終わったとしても、研究の背景、方法、結論等を10分で説明するのはやはり無理がある。研究内容についての評価がこれでいいのかどうかについてははっきり言って自信はない。彼らが実際研究した内容ではなく、発表された範囲内で判断するしかないので。


デモンストレーションについて言えば、さらに悲惨だった。どんなにアプリケーションを作りこんでいても10分間ではすべてを説明するのは難しい。入力項目が多くマスタに登録する段階で終わってしまう場合もあった。


多分、業務用アプリケーションのデモンストレーションを多く経験している百戦錬磨のソフトウェア会社の営業マンやSEでもこの場所でのアプリケーションの機能紹介は難しいと思う。営業マンやSEが相手にするのはそのソフトウェアがターゲットとする業務をよく知っている人たちがほとんど。それに対して、今回のデモンストレーションの場合、業務や前提をよく知らない講師陣に対して説明するので、バックグラウンドからよく説明しないといけないので。


そんな中でCumaioの発表が光っていた。彼のプレゼンは時間が足りなかったものの、ソフトウェアを作成した背景等や構造については必要十分に説明していたので、デモンストレーションではそれを確認するだけで済んだ。何よりもテーマが興味深い。彼が作成したのはモザンビークの情報に特化した検索エンジンモザンビークに関する情報を通常使われている検索エンジンで調べても多くの情報に埋もれやすい。そこら辺の問題を解決するために、うまいことフィルタリングして表示してくれる検索エンジンを開発したとのこと。ユーザーインターフェースや検索表示スピード等も一般の検索エンジンに比べて遜色がなかった。



余談として、自分が日本にいたときに働いていたソフトウェア会社では入社希望者に市場で高い評価を受けていると言う(自称している?)自社開発のソフトウェアを見せることはなかった。そんなに自慢するのであれば、見せればいいのにと入社前は思っていたけれども、所詮業務用ソフトウェア。前述のようにその価値が十二分に分かるのは、その業務に深く携わる人が中心である。


入社希望者と言う入社に至らなければ2chに何書くか分からないような人たちに見せても面白くともなんともないし、単に製品及び会社にとってリスクにしかならない。


例えば給与計算ソフトで賞与を年3回以内の場合だけなく、年4回以上払う場合の計算にも対応できますというデモを見せても、年3回と年4回の賞与を払う対象となる社員が両方いる会社の人事部の給与計算担当の人ぐらいにしか響かない。入社希望者に見せてもいいのは操作するのに敷居が低いゲームソフトぐらいだな。