派遣261日目Defense3日目

Defense3日目


この日は、自分がスーパーバイザーを務めている学生MayerとFirminoの発表があった。


Mayerについて言えば、以前、自分が指摘した部分についての修正が行われており、プレゼンとデモンストレーションのどちらも安定感があった。


一方のFirminoのテーマはUTMLというトランザクションモデリングランゲージについて。


彼は先週、突拍子もなくトピックの変更をしてきた学生。今更、トピックの変更などありえないので内容の修正に徹しろと言っておいたけれども、最終的にどうなったのか心配であった。


プレゼン自体は一見するとうまく行っているように見えた。しかし、よく聞いていみると声を張って発表しているだけ。内容は特に新規性がなく、既存にある技術をなぞっているだけだった。中身に自信がない場合、声をでかくしてごまかそうとするのは日本でもよく見た光景。案の定、質疑応答の際、Mr.Machachaに教科書のカット&コピーでしかない、と指摘されていた。


これに対して、Firminoはこれまた強気に答えていたものの、反論になっていなかった。Mr.FilipeおよびMr.Mafoloからも同様の指摘をされてぐうの音も出なくなったところでタイムアップ。自分も気になるところがあったので、後でオフィスにくるように言った。彼が若干泣いていたような気もしたので。


Firminoがオフィスに来たとき、このままでは落ちるぞと警告する。何でこうなってしまったのかも気になったけれども、本当に彼が自分で選択したテーマについて理解しているのかを確認したくなった。理由として自分のアドバイスのあと、大量のページ数を仕上げてきた点がコピペしていそうで怪しかったので。実際、トランザクションについての理解をそもそもしていなかった。


トランザクションがWebアプリケーションにしかない概念だと思っている時点でアウト。彼が参考に使っていた論文がたまたまWebアプリケーションを例として扱っていただけなのにそれを杓子定規に解釈している。その論文で提唱していたモデリングランゲージUTMLについて何かしら疑問なり、改良点を見つけることができれば、それについて書けば、立派に論文として通用する。しかし彼はそもそも理解が中途半端だったため、そこに至ることなど到底できなかった。


最初、彼をオフィスに呼んだときは何かしら救済できないか考えていた。でも、ここで変に救済すると、彼のためにもこの大学のためにもならない。落とすべきという意見に傾きかけたけれども、自分の裁量を超えそうな気がしたので学部長のMr.Mafoloに相談しろと言って返す。


余談として、プレゼンだけでなく、人前に出て何かを話すときに大きな声でやることはとても重要。内容に自信がない場合は特に。小さい声で発表を行っても何のメリットも無い。去年のM-1グランプリの予選に出た友人(もちろん芸人ではない)の話によると、プロの芸人と素人の違いは声の大きさとのこと。大きな声を出さないと面白いことも面白く聞こえないらしい。実際に予選が行われた渋谷電力館で観客として見ていても同様のことを思った。また、自分が大学生のときにアカペラサークルの人に聞いた話でもとりあえず大きな声で歌うことが重要だと話していた。音程を外していたとしても、大きな声で歌っていると少しはマシに聞こえるらしい。